茶室「青灯庵」 / Tea ceremony house SEITO-TEI

photo by Yoichi ONODA


変革を掲げる大学にふさわしい茶室の在り方を考え、京都の山崎にほど近い島本町(大阪府)の水無瀬神宮に現存する「燈心亭」を本歌として設計した。
「燈心亭」は、御水尾上皇から下賜されたと伝えられる宮家の茶室であり、茶の湯の精神性をもちつつも、型に捉われない自由な創意工夫が随所に見られる茶室である。

津田沼キャンパスに新たに作られた「青灯亭」は、現代的なデザインのアプローチを採用しつつ、寄付や腰掛待合、内坪の露地、さらに茶室へと進むにつれて、次第に古典的なディテ ールに誘われる設計とした。この空間体験を通して、茶室を訪れる人々が、自然への態度について考え、伝統の本質に触れることができるよう工夫している。また、「写し」としての設計プロセスを通じて、オリジナルである「本歌」からの変化や創造についての視点を育むことを意図した。

一見すると茶室は古いもののように感じられるかもしれない。しかし、茶室が形作られた桃山時代は、日本文化が最も洗練され、先鋭化した時代の一つである。当時の茶室は現代の建築家から見ても先進性にあふれている。
伝統とは、ただ古いものを模倣することではない。伝統の源流は革新である。伝統が伝統たりえた理由、すなわちその奥にある普遍性と特殊性を見つめ、現代の価値に応じてさらなる革新へと紡いでいくことにこそ意義がある。今回の茶室が、過去から学びながらも、その枠を超えて新しい創造へと挑む姿勢を持つきっかけとなることを願っている。

Project Year: 2025
Location: 千葉県 習志野市 千葉工業大学 津田沼キャンパス/ Tsudanuma Campus, Chiba Institute of Technology , Narashino, Chiba , Japan

Construction:株式会社大山建工/OHYAMA KENKO Co., Ltd

掲載:『コンフォルト』2026年2月号